世代別の食事管理

幼児期のネオフォビアと反応型の食事から、児童期の食育、青年期の痩せ型と腸内環境、中高年以降のアンチエイジングとオーラルフレイルまで、年代ごとに変わる食事の要点を整理します。

食事の重要性はいろいろなところで聞くと思いますが、年代によって食事の注意ポイントは変わってくるんですよね。

〇〇を食べると良い!という情報や△△な食べ方が良い!などの情報を見た時に、確かに良いかもしれないけど年代によってはそこまで重要ではない、ということも中にはあるはず。

今回は各年代における食事についてまとめてみようと思います。

幼児期

まずは食事を始める初期段階について取り上げてみましょう。

やはり赤ちゃんの時期からの食べる内容、食べ方によって今後の食事には大きく影響してくるので重要です。

ネオフォビア

一般的に幼児より赤ちゃんの方が未知の食べ物であっても積極的に試す傾向にあるんですが、生後20ヶ月くらいになると見慣れないものを食べることにひどく用心深くなることがあります。

食べる内容だけでなく、食器や調理法の違いなど、ほんの少し見た目が変わるだけでも拒絶することがあったりもするんですよね。

このような発達段階のフェーズを“ネオフォビア”と言います。

このことを考えると新しい味を試すのは可能な限り早く、乳児に試すのがおすすめ!ということになります。

どうしても子供は甘いものを好む傾向にあるので、まず食べる順番として野菜は先に食べさせる。

そして野菜の中でも苦味のあるものや甘みの少ないものを先に食べさせておくと成長した後に苦手意識が減る可能性があります。

また果物は食事の後半にするようにし、すっぱいものを先に、甘いものは最後に残しておく、というような意識も有効でしょうね。

反応型の食事

あと幼児期において重要なのは食事の内容だけでなく、食べ方。

ここでは“反応型の食事”というものが推奨されています。

これは簡単に言うと空腹・満腹感に合わせて食べる、ということになりますね。

例えば子育てをしていると機嫌が悪くなったからお菓子をあげる、食事の量が少し多かったもののせっかく用意したからお腹がいっぱいかもしれないけど全部食べさせる、ということも時にはあるかもしれません。

しかしこのようなことを繰り返してしまうと、食事コントロールの能力が失われていくきっかけになることもあるんですよね。

やはり理想としては機嫌とかではなくお腹が空いたら食べる、また食事の量が少し多かったら少し残したとしても満腹になったらそこまでにする、といった調整ができると良いと思います。

またそれと通じますが、お菓子など不健康なものを見せないようにする、ということも重要です。

どうしてもお菓子が目に入ると欲しくなってしまう可能性が高くなるため、視覚情報をコントロールしておく、ということも大事だと思います。

1歳までは避けた方がよいもの

またさまざまな理由で1歳までは避けた方が良いものもいくつかあるのでざっと紹介しておきます。

ハチミツ(ボツリヌス菌)、生の貝類(食中毒)、ピーナッツなど丸ごとのナッツ(誤嚥)、生・半熟の卵(サルモネラ菌)、加工された肉・魚(塩分)、砂糖または人工甘味料入りの食品・飲み物など。

幼児期の食事に関してはまずこのあたりを意識してみてもらえると良いと思います。

児童期

続いて幼児期を過ぎて、もう少し大きくなった児童期についても見てみましょう。

こちらは健康日本21という施策の中でも取り上げられているポイントがあるので紹介してみます。

肥満傾向児

特に社会的な課題になっているのが肥満傾向児について。

2017年時点で5歳未満の子供のうち推定4100万人が過体重・肥満と報告されており、日本国内においても問題になってきているんですよね。

原因としてはやはりファーストフードなど安く高カロリーな食事が増えている社会的背景の要因が大きく、日本では2005年に食育基本法が制定されて国全体の取り組みとして子供の食事改善に取り組んでいます。

主なものとしては現在は第三次食育推進基本計画というものをもとに、目標が定められています。

第3次食育推進基本計画の目標一覧表

こちらに挙げられているのは過体重・肥満だけではなく全般的な目標になっているので、状況に合わせて参考にできると良いと思います。

子供時代の食

上記の目標にあるように、食を通した人との交流や、食産業への理解もけっこう重要なポイントになっていることがわかると思います。

最近は親の仕事が忙しくて食事を家で1人でする“孤食”が社会問題になっていたりして、地域によってはこども食堂のような取り組みも増えつつありますよね。

食事は単に栄養を摂取するだけでなく、コミュニケーションの観点でも重要なので児童期にはこのあたりも意識すると良いでしょう。

また食育のような観点から、第一次産業や食品ロスのような環境への配慮についても子供のうちから学べると良いですよね。

このあたりもぜひ親と一緒に食事をしつつ、食事の大事さ、食産業についての話もしたり、時には農業体験なんかも一緒にできると理想だと思います。

少し食事の内容からは離れましたが、子供に関わる際はぜひ意識してみてください。

青年期

高校・大学・若手社会人くらいの年代になってくると、また食事で意識するポイントが徐々に変わってくると思います。

世代特有の課題と、より健康度を高めるためのポイントについてまとめていきますね。

痩せ型の女性

このような年代で問題になりやすいのが痩せ型の女性が多いということ。

どうしても見た目への意識が高まる傾向にあり、先ほど挙げた健康日本21の施策においても課題として取り上げられています。

年代・性別ごとの肥満とやせの割合を示すグラフ。若い女性でやせの割合が高い

上の図を見てもわかるように、男性はどちらかというと肥満・過体重・メタボが問題になっていますが、若い女性では特に痩せすぎが問題になっています。

過度なダイエットはやはり体によくないですし、セラピストのもとにも相談があることも多いと思いますが健康的に過ごせるアドバイスをぜひしていただきたいと思います。

健康度を高める

20代・30代あたりはまだ食べ過ぎ・飲み過ぎなど無理をしたとしてもある程度は大丈夫かもしれませんが、不健康な食事をしていると徐々に不調を感じることも増えてくるでしょう。

その際に重要なのがまず腸内環境。

現代人はどうしても食事のバランスが乱れがちで、腸内環境が悪化し、リーキーガットと呼ばれるような腸に穴が開いてしまうこともしばしば起こってしまいます。

普段意識して摂取するのが良いのが発酵食品で、例えば納豆、キムチ、ヨーグルトなどはもちろん良いですし、プロバイオティクスのようなサプリメントを使うことも効果的だと考えられています。

そこからさらに食物繊維を摂取することで腸内環境を良い状態に保ちやすくなりますし、野菜やフルーツ(特にゴボウ、寒天、海藻、キノコ類、オクラ、りんごなど)はおすすめですし、サプリメントとしても難消化性デキストリン・オオバコ・イヌリン・レジスタントスターチといったあたりは有効性が高いと考えられています。

その他、食べると良くないもの、食べた方が良いもの、もさまざまな研究によって実証されていたりもしますね。

  • 食べると良くない:牛肉・豚肉・ハムなど、白い炭水化物、バターなどの飽和脂肪酸
  • 食べた方が良い:魚、野菜・果物、茶色い炭水化物、オリーブオイル、ナッツ

腸内環境についてはファスティング・腸内環境・脳腸相関でも詳しく扱っているので、あわせて読んでみてください。

中高年〜高齢期

最後は中高年〜高齢期に関してで、出来るだけ若々しく健康に過ごす上で重要なことをピックアップしてお伝えできたらと思います。

アンチエイジング

体にはAMPKという燃料センサーのような酵素があって、これがうまく機能するとエネルギー代謝の効率を高めて健康寿命の改善・延長効果があると考えられています。

このAMPKを活性化させるのに役立つのがポリフェノールのようなフィトケミカル(軽微な毒素)を摂取することと、ファスティング。

体はトレーニングをすると筋肉量が増えるように、刺激を受けると活性化する特徴があるので軽微な毒素であるフィトケミカルを摂取することで身体の機能がよくなると考えられています。

そこで特に役立つポリフェノールを多く含む食品は以下の通り。

ポリフェノールを多く含む食品を含有量順に並べた一覧表

まずは普段からこのあたりを摂取するように意識しておくと良いでしょう。

また他にもショウガ、ニンニク、ブロッコリーのような含硫化合物、クルクミン、レスベラトロールのような物質を摂取することもおすすめだと考えられています。

ファスティングに関しては完全に断食をする以外に少し空腹の時間を作っていくくらいでも効果は出てくると思うので試してみてください。

生活習慣病・オーラルフレイル

最後に参考までに生活習慣病とオーラルフレイルというトピックも扱ってみようと思います。

ここまで見てきた通り幼児期・児童期・青年期に渡って食事の注意ポイントが変わってくることがわかってきたと思いますが、中高年あたりで特に気をつけた方が良いポイントは質問指標にある程度まとめられています。

簡易栄養状態評価表(MNA)の質問項目。食事量・体重減少・移動能力などを評価する

中高年〜高齢者のクライアントに関わる際は参考にしてみてもらえたらと思います。

また食事と関係するポイントとして、口腔内の環境も考える意義があります。

歯を含めた口腔環境を整えておかないと満足いく食事が取れなくなってくるリスクがやはりあるので、オーラルフレイルの観点から早めに予防することがおすすめになります。

オーラルフレイルの進行段階を示す図。口の些細なトラブルから咀嚼機能不全までの流れ

今回食事に関して幅広い観点で取り上げてみましたが、各年代や目的によっても意識することは変わってくるので、セラピストとしてクライアントに関わる中でさらに勉強を深めていっていただけたらと思います。

参考文献・出典