最近話題のCBDについて理解を深める

CBDとは何か、エンドカンナビノイドシステムを通してどう体に作用するのかを整理し、ストレス・不眠・片頭痛・皮膚トラブルに対する現時点でのエビデンスを紹介します。

これまで腰痛に関する内容を主に扱ってきましたが、今回は少し別のトピックとして最近話題になりつつあるCBDについて解説していきたいと思います。

販売される商品の種類も増えてきて、クライアントから聞かれることもあると思いますし、そこで詳しい説明ができればセラピストとしての信頼度もより高まると思うので、ぜひ学んでもらえたらと思います。

ただ、CBDは近年発表される論文も増えつつはあるもののまだ研究途中の段階。

今回基礎的な知識を身につけつつ、ぜひ自分でもさらに最新の情報を収集していけるよう意識してもらえたらと思います。

まずCBDとは?

CBDはCannabidiol(カンナビジオール)の略で、もう少し広く見るとカンナビノイドと呼ばれる成分の一種です。

カンナビノイドの中にはCBDだけでなく、CBN(カンナビノール)、CBG(カンナビゲロール)、THC(テトラヒドロカンナビノール)など、様々な種類がありますが、その中でもCBDは特に体にとって良い効果が示される研究結果が多く出てきていることから最近注目を集めるようになってきました。

CBDを含めたカンナビノイドは大麻から抽出することができ、「大麻」と聞くと「危ない・怖い・得体の知れない薬物」という印象を持つかもしれませんが、近年大麻が合法化される国も増えており、怖さよりも有効性に焦点が当たることが増えてきていますね。

CBDに関しては副作用もほとんどなく、2017年にはWHO(世界保健機関)において「CBDは乱用や害を及ぼさない」という見解が示されていたり、2018年にはWADA(世界アンチ・ドーピング機構)においてもCBDは使用禁止リストから除外されていたりすることも最近普及している理由になっています。

CBDは抗不安作用、抗炎症作用など様々な効果があると言われていますが、その前にどのような機序で体に作用するかということを解説したいと思います。

エンドカンナビノイドシステム

エンドカンナビノイドシステムとは、分かりやすくまとめると体全体を良い状態に保つ上で重要なシステムです。人の体は生きているだけで様々なストレスにさらされていますが、それでも良い状態を保てるようになっています。そのことをホメオスタシスと言いますが、エンドカンナビノイドシステムはそのホメオスタシスを維持するために常に働いている仕組みになります。

体の中にはCBDのようなカンナビノイドと呼ばれるものが影響を及ぼす受容体がたくさん存在しており、その受容体がうまく働くことによって体の機能を調節しています。

CBDは体の外から摂取するものになりますが、実は体の中で作られるカンナビノイドというものもあります。体内で作られるもののことを内因性カンナビノイドと言います。

具体的には主に2つあり、アナンダミド(N-アラキドノイルエタノールアミド)と2-AG(2-アラキドノイルグリセロール)というものが体の中で作られ、エンドカンナビノイドシステムの働きに影響しています。

カンナビノイドの受容体も1型カンナビノイド受容体(CB1)と2型カンナビノイド受容体(CB2)がありますが、先ほどのアナンダミドや2-AGがこれらの受容体に作用してホメオスタシスを維持するための活動に関わっています。

CBDは体の中で作られるカンナビノイドと構造が似ており、CB1・CB2のような受容体の活動に影響すると考えられています。また体の中で作られるカンナビノイドはそれを分解する酵素によって比較的早くなくなってしまいますが、体の外から取り入れるCBDはすぐに分解される酵素がないため、効果が長続きする可能性があると考えられています。

そのような理由でCBDをとることによって、体の機能を調節するように働くわけですね。

CBDのエビデンス

それではここから科学的な論文の中で示されてきているCBDの効果についても紹介していこうと思います。最初にお伝えしたように、CBDの研究は近年増えつつあって今後エビデンスは変わる可能性もありますが現段階での状況をまとめておきますね。

ストレスや不安の軽減

CBDはセロトニン受容体である5-HT1A神経受容体に作用することで不安や抑うつ気分などのネガティブな症状に対して効果的に働くということが確認されています。

セロトニンは別名「幸せホルモン」とも呼ばれており、ストレスによる不安を抑制する役割をもつ神経伝達物質です。セロトニンの分泌量が低下してしまうことは不安、イライラ感、抑うつ的な気分、不眠などの症状につながるといわれています。

2004年にブラジルのサンパウロ大学で研究された報告では健常な男性10名をCBD群とプラセボ群の2群に分けてCBDを経口から摂取後90分の時点で主観的な不安を測定したところ、CBDを摂取した群がプラセボ群と比較して主観的な不安が軽減したことが示されました。

他にも2019年の京都大学での研究報告では社会不安に悩む10代若者に1日300mgのCBDを4週間投与したところ症状が少し軽減したことが示されました。

また300mgのCBDを使った研究では、90分後にコミュニケーションの不安が軽くなることが示された一方で150mg程度の低容量だと効果が少なかったということもブラジルのサンパウロ大学における研究で明らかになっています。

このような論文からもCBDはストレスや不安の軽減に効果があることが考えられています。

不眠の改善

CBDが不眠の改善につながるポイントは2つあります。

1つは、不眠の原因となっている不安や痛みを緩和する作用がCBDにはあるという点です。CBDがエンドカンナビノイドシステムに影響することにより体内のカンナビノイドが活性化されます。それによって不眠の原因が解消されて良質な眠りにつくことができると期待されます。

2つ目のポイントはCBDが活動と睡眠のバランスを調えるサーカディアンリズムに深く関係するセロトニンに対して作用する点です。CBDはセロトニンと結合する5-HT1A神経受容体を活性化することが明らかになっています。セロトニンには睡眠の質を促進する効果があり、メラトニンの原料となっています。CBDによってセロトニンの働きを高めることにより日中は活動的で、夜は休息モードに入るという生体リズムがつくられることが期待されています。

これまでCBDが睡眠の質に与える影響について調べた調査がたくさん行われています。カナダのマクマスター大学などが2022年に報告した研究によればうつ病(n = 100)、不安神経症(n = 463)、およびうつ病と不安神経症の併発(n = 114)の不眠症の症状をもちCBDを使用している人を対象に睡眠への効果について後ろ向きに調査を行いました。その結果、対象者の自覚としてCBD使用後に不眠の症状が有意に改善したことが報告されています。

CBDの副作用については下痢や口渇などが報告されており重篤なものではないとされていますが、元々睡眠薬などを服薬している場合にはCBDと相互作用する可能性があります。また不眠に関しては、CBDの摂取量が少量だと覚醒、量が増えると鎮静作用があるために個人に合った適切な量に関してはまだ研究途中の部分があるので今後の研究は要確認ですね。

片頭痛の改善

片頭痛はエンドカンナビノイドシステムに関係する内在性カンナビノイドが欠乏することが影響していると考えられています。痛みをつかさどるものには感覚的、感情的、認知的側面があるとされており、痛みの緩和に働きかける重要な内因性疼痛制御システムとしてエンドカンナビノイドへ注目が集まっています。

イタリアのカストロ博士が2022年に片頭痛におけるカンナビノイドの効果についてレビューしました。この文献によると、これまでの研究によってエンドカンナビノイドシステムが片頭痛に関係する三叉神経興奮性の調節に関与していることが明らかになっています。

さらに、臨床データによって内因性カンナビノイド欠乏症が片頭痛に関連していることが示唆されています。このレビューによって植物性カンナビノイド、および合成カンナビノイドが片頭痛治療の選択のひとつとして試験されていることが報告されています。このような潮流にのってさらにCBDが片頭痛の緩和に役立つ示唆に富む研究が行われることが期待されますね。

皮膚トラブルの緩和効果

CBDが持つ抗酸化作用や抗炎症作用を利用することで湿疹やアトピー、ニキビなどの皮膚トラブルに対して炎症の鎮静効果、痕の緩和、かゆみ緩和といった効果が現れることが期待されています。また、老化による皮膚の衰えやしみやしわに対しても回復力や再生力によるアンチエイジング効果が期待されています。美しく健康的な肌を保つためにCBDが配合された化粧品製品を使うことを選択肢のひとつに入れてみてもいいかもしれません。

サウスカロライナ大学医学部のナガルカッティ博士が2009年に発表した論文によるとCBDは免疫系の調節と免疫応答の抑制を通して炎症とそれに続くサイトカイン産生を減少させることが明らかになっています。

また2022年には米国フロリダ州のマイアミ大学のイラヴィアン博士がCBDがもつ抗炎症作用に着目し、にきびのような条件下の皮膚の炎症状態に対してCBDがもたらす効果について検証しました。その結果、CBDを取り入れた24時間後に評価したところ皮膚の炎症および炎症反応に関係するTNF-αおよびIL-1βを含む炎症性サイトカインの発現を減少させることが見出されました。

これによりCBDがにきびのような症状の抗炎症治療薬として有用である可能性が見えてきました。今後もさまざまな皮膚トラブルに関する研究報告が増えることが期待されます。

まとめ

今回はCBDについて取り上げて解説をしてみましたが、大まかに体に作用する機序や効果について理解できたでしょうか?

以前まで腰痛に関する内容を伝えてきましたが、メンタル面が絡む腰痛に関してはCBDが効果を発揮する可能性を考えられます。

健康・美容だけでなくスポーツ場面などでもCBDを活用する事例は増えてきていますし、今後も新しいエビデンスが出てくると思われるので、ぜひ意識して情報収集してもらえたらと思います。

参考文献・出典